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Wednesday, February 17, 2010

Japanese Parliamentarian Shimoji's Statements in Guam, Reported in Mariana's Variety グアムの現地新聞に報道された下地議員の発言から思うこと

前回前々回さらにその前の回の関連投稿も併せてお読みください。

先日社会党の阿部議員と国民新党の下地議員がグアムと北マリアナ諸島を普天間基地の「移設先」としての可能性を探るための視察ということで訪問したが、下地議員のグアムでの発言が報じられた現地の新聞「マリアナズ・バラエティー」グアム版の2月11日付の記事を紹介する。

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Mariana's Variety
February 11, 2010

"Demand, don't ask"

(太線はブログの編集者がつけた。訳は主要な部分のみ。)

BOTH the U.S. and Japanese governments have equal responsibilities to respond to every issue raised by Guam pertaining to the Marines’ relocation, but the people of the island must learn to be more assertive, according to Japanese parliamentarian Mikio Shimoji.
(日本の国会議員、下地幹郎は、グアムの人にもっと強く自己主張をするように言った。)

Don’t ask, don’t say ‘please;’ demand,” Shimoji said in an interview with Variety last night. “It is very important that the people of Guam speak out and stand up for their rights. If you don’t say anything, nothing will happen.”
(「ただお願いするだけではだめです。要求するのです。」「グアムの人々は声を大にし、自分たちの権利を主張するべきです。何も言わなければ何も起こりません。」)

Shimoji doesn’t dismiss the possibility of Guam officials directly approaching the Japanese government for assistance.

When asked if the Japanese parliament would respond accordingly to Guam’s request for a portion of Japan’s $6 billion allocation for troop realignment, Shimoji replied, “Why not?”

He said “it is a mistake” on the part of the U.S. government to ignore the cost that will be incurred by the local community as a result of the military buildup.

“The U.S. government clearly said that they are not enthusiastic about doing anything outside the fence. It is wrong,” Shimoji said through an interpreter.

“You must continue to raise your voice; it’s not too late. You have the right to raise your voice to the government of Japan, as well,” he added.

(日本が沖縄海兵隊のグアム移転費として負担する60億ドルの一部をグアムに配分する要請についいて聞かれ、下地議員は「当然だ」と答えた。軍備増強にともなう地元へのコスト増をアメリカは無視すべきではないと。)

Delegation

Shimoji is the chief of the policy making board of the New People’s Party, one of the partners in Japan’s center-left ruling coalition. He is among the members of the Japanese Diet who arrived on Guam last night to assess the island’s situation and evaluate its capacity to handle the over 8,000 Marines and 10,000 dependents who will be relocated from Okinawa to Guam.

He was accompanied by fellow House members Abe Tomoko, Hattori Ryoichi and Yokota Syozo, who all represent the Social Democratic Party.

The Japanese delegation met last night with Speaker Judi Won Pat and Sen. Tina Muna-Barnes during a dinner reception hosted by Ken Haga, president of the US. Explore & Study, Inc. at the Holiday Resort.

“Our sentiment three years ago is not the same as our sentiment today,” Won Pat told the Japanese parliamentarians. “Three years, the community might be pro-buildup, but that sentiment has changed after realizing its impact based on what we have read in the draft environmental impact statement,” Won Pat said.
(2月10日、日本からの派遣団はグアム議会議長のジュディー・ウォン・パットとティナ・ムニヤ・バーンズ議員との晩さん会の場で、ウォン・パット議長は日本の議員たちに「3年間地元の人間たちは軍事基地増強に賛成の向きもあったが、環境影響評価書を読んでからどれだけの影響があるかを実感するようになり気が変わってきた」と伝えた。)

Shimoji assured Won Pat and Muña-Barnes that the size of the troops that will be relocated to Guam will be not be bigger than what was agreed upon in the 2006 accord between the U.S. and Japan.下地議員は、二人に対し、沖縄からグアムに移転するのは2006年の日米合意以上の人数にはならないからと保証した。

“We appreciate Guam for accepting the Marines who will be removed from Okinawa. This is why the Japanese government has a responsibility to listen to the people of Guam,” Shimoji said. “We will make sure that the forces that will be relocated to Guam are no bigger than what will be left in Japan.” (「沖縄から移転する海兵隊を受け入れてくれて感謝する。だから日本政府はグアムの人たちの声に耳を傾ける責任がある。」と下地は言った。「グアムに移転するのは日本に残留する人数を超えないようにする。」)

Parallelism

“I’m beginning to understand Guam’s situation more,” Shimoji said, as he noted the parallelism between Guam and Okinawa, which are both geographically and politically isolated.
(グアムと沖縄は両方地理的に、政治的に隔離されており、並行的な特徴があると下地は指摘し、)

“Guam will now be sharing the burden of Okinawa,” he said.
(「グアムはこれから沖縄の負担を共有することになる」と言った。)

As to the lack of military transparency on the planning process for Guam buildup, Shimoji recalled that Okinawa experienced the same exclusion when the U.S. bases were in the process of being installed on the island. “The U.S. did not disclose the process,” he said.
(沖縄の軍備増強についての情報に透明性がないという指摘を聞いて、下地は沖縄も米軍基地が作られたとき同じ経験をしたと語った。)

“So, it’s history repeating itself,” Barnes said.

“We can’t let history repeat itself. We have to join forces to prevent it from happening again,” Shimoji said.
(「歴史を繰り返させるわけにはいきません。同じことが起こらないように力を合わせなければ。」)

The delegation is scheduled to visit the base facilities today before meeting Gov. Felix P. Camacho at 2 p.m., but the Japanese officials said they are willing to cancel some of their appointments so they can meet with members of the legislature today. They are leaving tonight.
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このときの下地議員の発言が日本のメディアに報道されているのを見た人はぜひ教えてほしい。私が知る限りでは、ない。

下地議員はグアムの人々に非常に同情的なことを言っており、沖縄出身者としてこのような同情をするのは自然であろうと察する。声を挙げて、力を合わせて、といったように連帯を呼び掛けるような口調すら使っている。グアム側の人は、現在のグアム海兵隊移転計画自体がすでに地元にとって負担が重すぎると言っているのだから、本当に連帯を呼び掛けるのなら現在の案自体にも反対しなければいけないということになる。

しかし下地議員はそうは言っていない。現行の計画で8,000人かそれ以上の海兵隊とその家族たちが移ってくることには疑問ははさまず、「それ以上来ることはないから」と言って慰めている。ここでびっくりするのは「沖縄に残る海兵隊よりたくさん来ることはないから」と言っていることだ。

国会でも宜野湾の伊波市長が幽霊定数ではないかと追及した1万8千人の定数通り沖縄に海兵隊がいるわけではなく、米沖米軍の発表によると1万2500人、伊波市長によると実際は1万1千人ぐらいではないかと言われている。1万2500人としても、そこから8千人グアムに移動したらどう考えても沖縄に居残る方が多いなどとは言えないはずである。この下地議員もいまでに1万8千人の「幽霊定数」を使っているのだろうか。

そもそも、下地議員や阿部議員は普天間基地問題検討委員会を代表し、「移設先」候補であるグアムを視察しに行ったのだ。この辺からしておかしいことがある。国内では「移設先、移設先」という議論ばかりで、新基地を作るのが議論の大前提となっている。新基地でなくてもせいぜい嘉手納への統合とか、物理的な基地を問題にしている。しかしグアムや北マリアナに行くと基地の問題から海兵隊を受け入れられないかという話に変わる。グアムや北マリアナ諸島への海兵隊移転に伴い住居や訓練場などの新設というのはもう米軍も決めていることだが、いわゆる辺野古に作ろうとしてきているような飛行場の新設という計画はないのだ。

それを踏まえてか、グアムや北マリアナに行ったときは普天間の代替施設といった言葉は使わずに海兵隊の受け入れの話となる。聞く地元の側はすでに米軍が発表した環境影響評価書にある海兵隊8600人(これも日米合意の8000人から増えている)とその家族ということを念頭に置いていてこれは問題視しているのである。そして日本側は、「現行案」がグアムの人たちにとっていいのかどうかは脇に置いて、それ以上の受け入れはどうだろうかということを話しに行ったはずなのである。

しかし当然ながら、実際どの部隊の何人という話はどこにも出てこない。在沖海兵隊のどの部隊が何人移動するかという計画は日本政府は明らかにしていないからだ。米軍の資料では、今までこのブログでも何度も言ってきているように、司令部だけではなく一体的な移転の計画だということが伊波市長や吉田健正、田中宇の分析等でわかってきている。下地議員たちは一体グアムや北マリアナに行って、現行案プラスどれぐらいの海兵隊を移転させたいと伝えたのか。その提示がない限り、グアムや北マリアナ諸島の人たちは何とも答えようがない。グアムの知事も「これ以上の受け入れは難しい」としているが、実際に何人と聞いているのか。

私はそもそもこの視察の目的が「国外移設は難しい」という規制事実を作るために行われたのではないかと疑っている。そうでないことを望むばかりだ。しかしこの議員団のグアム視察の報道は「知事は難色を示した」といった印象を与えるもの一色となり、下地議員は帰国してすぐ「キャンプ・シュワブ陸上基地案」を提案し始めたことを考えると私の疑いはより深くなってしまう。グアムに行って、一緒に戦いましょうみたいなことを言いつつ現行の米軍移転計画には反対せず、今度沖縄に帰ってきて、国外移設先がないかと努力したけれどもやっぱりだめです、「県外」も時間が足りません、だから「キャンプシュワブ」に陸上航空基地を作るしかないんです、と市民を納得させようとしているのか。

それはグアムと沖縄への両方の裏切りにならないだろうか。

与党議員として下地さん、阿部さんや皆さんに期待しているのは、まず米軍再編計画についての詳しい情報の開示である。現在沖縄にいる海兵隊の構成と人数をしっかり明らかにし、その中から一体どの部隊の何人が移動するのか、米軍が開示してきている情報を日本政府は知らぬふりをし続けている。こういった情報を隠す理由があるとしたら、とにかく沖縄に新基地を作りたいから、新基地が必要ないことがわかってしまう情報を隠している可能性があると思わざるを得ない。

このことについては、吉田健正の新刊本を読んでからまた詳しく議論していきたいと思う。

PeacePhilosopher

1 comment:

  1. Anonymous11:47 pm

    私はグアム在住の日本人、出版業を経営しております。数年前から下地議員に懇意にさせていただき、その線上で書かれてある記事の地元メディア取材をセットさせていただきました。このブログ掲載に書かれていない部分がありますので少し説明を付け足します。誤解を避ける意味です。

    私は今回の移転問題を非常に心配している数少ない在留日本人で、特に下地議員が心配しているように、島民(リーダーも含めて)の間には危機感がまるでないことに不安を感じております。彼等島民は今でもアメリカの良心的な采配、つまり海兵隊移転がもたらす様々な混乱と不平等について総て理解しそれを解決し、その上で島民にもなにがしかの恩恵をもたらすのではないか、という気分に酔っています。これは根拠のない楽観で、これまでも島民はアメリカ流の(領土という支配下の)やり方に最終的に屈している(米軍基地拡張)のです。

    下地議員は国会議員の中で唯一「グアム海兵隊移転問題」の両国政府合意による領土問題の政策側としてのコメントする愚を避け、それによる地元民の被害と精神的ダメージを憂慮されておられるようです。かつては自民党の、最近では北沢氏のような民主党大臣ですら、政策の中身検証に来島するだけで、実際面を中から伺う、調査する労力を惜しんできました。これは総て外務省と米国国防省による公な視察という名目でかくしてきた、あるいは避けてきたことがらでした。
    下地議員は、自身が沖縄県出身であることから、島民の側にたった見方をこころがけ、これまで度々来島して地元民と意見交換していることから氏に対しての信頼は本物のようです。
    今回の来島はこのブログコメントによるような「ためにする来島」ではなかったようです。社民党が執拗にグアム移転を主張するので現実を実感して欲しい、というのが主眼である、と聞きました。記事にある地元紙のインタビューは私が設定し、オフレコによるグアム議会議長との懇談は下地議員の要請で私がセットしたものです。従って、双方列席しておりますので事情を説明できますが、この来島の(下地議員の趣旨は)日本のマスコミも含めて、移転には必ず島民への苦痛を伴うものがあるよ、という示唆であったのです。議員はこのこと「島民が迷惑していること」「島民にはそのメリットがまるで伝わっていないこと」「島民はアメリカ政府による規則と法律に縛られて自由な発言と高官との対話が許されていないこと」を公にしておきたかったのです。ですから両政府に直接対話を求めるリーダー達に「要求せよ、お願いするものではない」とコメントしたのです。

    このことから翌日、公式会談であるグアム島知事との面談の後、両氏は招かれてグアム議会に参りました。
    その前の知事達との面談ですが、そこには米軍の将官から取り巻きやらが大勢列席し、知事を取り囲んで発言に目を光らせ縛り付けていたそうで可哀想だったそうです(阿部知子議員談)」これがこのマリアナ諸島の現実なのですね。遅れて参上した松野議員はそれこそ何も感じていないように見えました。グアムは領土ですから島民が選んだ知事よりも派遣されている軍人の方が偉いのですね。
    私は議会に向う車内で阿部議員に、「グアム島民は8.000人(実質40.000人)ですら迷惑をしているのだから、彼等に何も対策をもたずにこれ以上の増員を言い出さないで欲しい。議員も、島民のことを考えよ、というコメントをマスコミにだすと島民は救われますよ」といいましたが、結果、今でも社民党は「沖縄県民のためにグアムへ」というおべんちゃらばかりで本当の意味での人権を考えていませんね。駄目な政党です。
    さて、グアム議会では15名のメンバーの内13名が両氏を出迎えお互いに意見交換をし、彼等の希望と提案書を下地議員に託しました。その中には射撃練習場のため使う目的で、グアムの財産である歴史的遺構の破壊、ユニークな自然現象の破壊の中止要請も含まれていました。

    沖縄の二の舞を踏むな、という誠意あるアドバイスを下地議員は憂いからリーダー達にコメントしたのですが、島民はそれを未だ肌で感じていないようで失望しております。

    海兵隊のグアム移転は日本の国民感情同様に決して手放しで受け入れられる状況にはありません。実際迷惑だし無責任な押しつけだと思います。
    私どもから察するに、沖縄県民のみならず、他県ですら嫌われている海兵隊移転先を日本とは無縁のグアムが喜ぶはずがありません。こういうのを常識といいます。
    実際、アメリカはグアム島民との直接対話を避けております。下級官僚と話しただけで舞い上がっている彼等が可哀想でなりません。日本であればデモなり抗議なりを堂々と行えますがここグアムでは厳しい制裁が予想されるのでなかなか動きません。こうして島民の声がまとまらない間に、今回の取り決めをつけ、早急に行動を開始したいのがアメリカ政府の戦術でしょう。決定した後では何もいえませんからね。

    下地議員が約束した通りにグアム議会リーダー達に招聘状をだしました。しかし議員達は日本の政府の中で考えていることを公開することを恐れているようであります。日本人が怖いのではなく、アメリカの仕返しが怖いからです。それを思うと、日本は未だ平和で屈託のない政府ですね。
    鳩山首相はおそらく芯のない、国家観(愛国心)の薄い人のようだから、かつてアメリカのカーター大統領がそうであったように、口当たりのいいことばかりをいってその場を逃げ、やがて四面楚歌であることに気付くかも知れません。多くの日本国民は、沖縄の問題を自分のこととして共に悩みを感じ苦しみを分かち合い、お互いが少しづつ苦痛の部分を共有するべきですね、特別措置法で金銭を提供する、という安易な方法だけではなくです。
    せめて下地議員のように、沖縄だけの問題とせず、広い視野でこの問題を捉える必要があると思いますが、海兵隊移転は難しい問題がありますね。

    芳賀 建介(US explore & Study, Inc)

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