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Tuesday, November 23, 2010

米国は「沖縄知事選の結果にかかわらず辺野古への移設を目指す」というようなことは言っていない Jiji News' bold interpretation of Phillip Crowley

普天間問題や日米「同盟」の問題で、日本のメディアが米国の高官の言葉をねじまげたり大げさに伝えたりすることは以前からよく書いてきたが、今回は時事通信。

http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2010112300075
普天間現行計画遂行へ努力=沖縄知事選、結果にかかわらず-米

 【ワシントン時事】クローリー米国務次官補(広報担当)は22日の記者会見で、米軍普天間飛行場移設が争点となる28日の沖縄県知事選に関し、「現行計画の遂行に向け、日本政府と努力し続ける」と述べ、結果にかかわらず同県名護市辺野古への移設を目指す方針を示した。知事選では主要2候補が共に日米合意の見直しと県外移設を求めている。

 同次官補は、日米両政府はこれまで、米軍の沖縄駐留の重要性を地元に理解してもらえるよう取り組んできたと強調した。 (2010/11/23-07:29)
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これは国務省のウェブサイトに載っていた22日の記者会見の以下の部分のことを指す。
http://www.state.gov/r/pa/prs/dpb/2010/11/151758.htm

MR. CROWLEY: Let me take that question.

QUESTION: On Japan? On Futenma, regarding Futenma, there’s a government election coming end of this week in Okinawa, and both candidates are against the government’s agreement on Futenma’s relocation. So – which means whoever wins, it’s going to be tough situation for the government to implement. My question is how do you see it affecting election, and what kind of plan or strategy are you going to have regarding --
(質問:普天間についてですが、この週末に沖縄県知事選があり、両候補が普天間移設の政府案について反対しています。それは、誰が勝とうとも、政府にとって計画を実行するのは難しいということです。これは選挙にどう影響するでしょうか、また、どののな計画や戦略を・・・)

MR. CROWLEY: Well, first of all, the elections in Okinawa and elsewhere are decisions for the Japanese people. We have worked hard this year to develop a way forward on Futenma with the national government. As part of that, we certainly have and they have engaged Okinawan leaders to help them understand the importance of the U.S. presence in Okinawa. And this is a conversation that we’ve had. We’ve produced a shared game plan on the way forward and we will continue to work with Japan to carry it out.
(クローリー:まず、沖縄であろうと他のどこであろうと選挙の結果というのは日本の人たちが決めることです。私たちは今年、普天間について前進できるように日本政府とともに努力してきました。その一環として、私たちも、日本政府も、沖縄の指導者たちに、在沖米軍の重要性をわかってもらうように話し合いをしてきました。対話をしてきたのです。私たちはこの件で前進するための共有できるゲーム・プランを作り、それが遂行できるように引き続き日本と協議していきます。)

まず、クローリーは選挙について「結果にかかわらず」となどとはひと言も言っていない。質問者の問いかけをクローリーの言葉として報道している。

また、クローリーは「現行計画」とは言っていない。「共有できるゲーム・プラン」というのが、おそらく5.28共同声明や、8月31日の日米専門家の報告書のことを指している可能性があるが、はっきりとは言っていない。

それを、

、「現行計画の遂行に向け、日本政府と努力し続ける」と述べ、結果にかかわらず同県名護市辺野古への移設を目指す方針を示した。

とまとめるのはあまりにも強引ではないか。とくに、記者の質問の一部であった「結果にかかわらず」と、クローリーが言及もしていない「名護市辺野古への移設」をつなげるのは乱暴としか言いようがない。また、知事選の結果にかかわらず日米政府の計画を強行する予定だという印象を与え、米側の意向について誤解を与える表現である。

「結果にかかわらず」の部分についてはカッコがついていないので、クローリーの言葉の直接の引用として書いているわけではないが、嘘にはならないぎりぎりのラインであちこちの表現を組み立て、解釈した結果、実際に言ったこととは似ても似つかない表現を使い、あたかもその高官が言ったかのような印象を与えて逃げ切っている。

しかしこういった報道は珍しくない。珍しくないどころか、こんなのばっかりだ。実際に米国現政権の高官が「名護市辺野古」と口にしたことは私はほとんど聞いたことがない。多くの場合「現行計画」とか「前進する道」とか、曖昧に言っている。しかしそれが日本のメディアにかかるとほとんどの場合「名護市辺野古への移設」という表現に変わってしまう。例を挙げればきりがない。

日本のマスメディアはどうして、「米国の重圧」のせいにして、そんなに辺野古に新基地を作りたいのか。

それはメディアの後ろに、のどから手が出るほど辺野古が欲しい対米従属派の官僚(外務省、防衛省)と、軍事産業、ジェネコン、マリコンたちがいるからと思う。これは辺野古だけの問題ではなく、市民の力により辺野古を断念するという前例が成立し、その後どんどん基地の縮小が進むことによる権益の損失を防ぎたい、という危機感の現れであろう。

PeacePhilosopher

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